みなさん、こんにちは。

朝の気温がぐっと低くなりました。
そして今年はたくさんの金木犀が

2度咲きをしています。

歩いていると金木犀のいい香りが漂って来ます。

 

今日は患者さんの笑顔を引き出す方法に
出会えたことについて

エピソードをお話したいと思います。

 

私は服部病院の透析センターで長年働いています。

ここでの働く喜びの一つは多くの素敵な患者さんと
出会えることです。

 

多くの患者さんは、透析治療を長い期間
この服部病院で受けられています。

毎日患者さんと行き交う、何気ない会話やコミュニケーションは

スタッフも患者さんも
笑顔が溢れ出てくる宝物が

がたくさんあります。

 

難聴があり、認知症があるAさんは、

声をかけると丁寧に挨拶されますが、

いつも表情は変わることなく、

自ら話されることはありませんでした。

 

ある日、私はAさんのことが知りたくて

Aさんは若い頃何をなさっていたのですか。」と尋ねました。

 

すると「私は若い頃ブラジルにいて、
現地で紡績の工場にいて、

機械の操作を教えていたの。」

と話し始めたのです。それも表情豊かに!

 

「そうですか。そんな昔に海外でご活躍されているなんて、

キャリアウーマンですね!
何かブラジルでいた頃の言葉を

覚えていらっしゃいますか?」

と尋ねると

「うーん、忘れちゃったわ。」
と言われたのですが

 

「では『ありがとう』はどう言うのですか?」
と私は尋ねてみました。


するとAさんは

満面の笑みで「オブリガード!」

(ポルトガル語で‘ありがとう’を意味します)」

と言われたのです。

 

長い間この服部病院の透析センターに
通われているAさんですが

私はこの満面の笑顔をほとんどお見かけしたことがありませんでした。

 

私はそれがとても嬉しくて、

Aさんには笑顔になって欲しいと思い、

それからは度々Aさんに「オブリガード!」と声をかけています。


 

そしてお互いがいい笑顔になるのです。

 

「オブリガード」は「ありがとう」という感謝の言葉です。

そのすばらしい

言葉を思い出してくれたAさんに感謝いたします。


 

患者さんの本当の笑顔を引き出すきっかけは

どこにあるかは人それぞれだと思いますが

それを引き出せた時、私は本当に喜びを感じました。

 

そして私自身がAさんは「笑わない人」という

勝手な思い込みをしていたことにも

気付かされました。

 

そして患者さんの本当の笑顔を引き出せるのは

そこにラポール(信頼関係)が築けられていて、

本当にその患者さんを知ろうとした時だと思います。

 

「こういう人」という思い込みを持たず、

いつも客観的に広い視野を持って

患者さんに関わっていこうと思いました。

 

いつもブログを読んで頂きありがとうございます。

 

今日も皆様が笑顔で過ごせますように。

 

第1透析室看護主任 北川 歩理

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